しもむら胃腸ペディア ~メジャーな“胃腸の病気”いろいろ~
「しもむら内視鏡クリニック」は大橋エリアを中心に、福岡の消化器内科クリニックとしてこれまで地域の患者様のさまざまな症例に向き合ってきました。ここでは、よくみられる主な胃腸の病気をご紹介いたします。症状も詳しく掲載していますので、心当たりのある方はぜひご参考ください。
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メジャーな胃腸の
病気リスト
~急に起こる病気編~ - 急に調子が悪くなる病気の代表的なものには以下の4つ、
急性胃炎(胃潰瘍)・急性腸炎(胃腸炎)・急性虫垂炎・大腸憩室症などが挙げられます。
急性胃炎・急性胃潰瘍
急性胃炎と急性胃潰瘍は、急な腹痛、吐き気や嘔吐、おなかの張り感などを引き起こす胃の病気です。胃に出血もある場合、吐血や貧血症状もあります。
原因として挙げられるのは、
1. 精神的・身体的な「ストレス」
2. 鎮痛薬、ステロイドなどの「薬剤」
3. アニサキス,ピロリ菌感染などの「感染症」
4. アルコール、香辛料などの「飲食物」
です。
クリニックではまず胃カメラで原因を探り、症状を緩和させます。
急性腸炎(急性胃腸炎)
急な下痢や発熱、腹痛、嘔吐を引き起こす急性腸炎は、小腸と大腸の炎症性の病気です。そのほとんどは感染症で、夏は細菌、冬はウイルスが原因であることが多いでしょう。
多くの場合、数日~2週間程度で自然に治ります。しかし、脱水症状などを引き起こす強い下痢や腹痛が見られる場合には、早めに治療することをおすすめします。また、出血が見られる、2週間経っても症状が治らないといった場合は、大腸カメラを使用した精密検査も検討します。
急性虫垂炎
一般的に「盲腸(もうちょう)」と呼ばれるものです。「虫垂」と呼ばれる大腸の一部に炎症が起こる病気なので、正式には急性虫垂炎といいます。おなかの右下に急な痛みを感じた場合、この急性虫垂炎かもしれません。緊急で手術が必要な場合もありますので、放っておかずすぐに受診するのがおすすめです。
大腸憩室症(憩室炎・憩室出血)
大腸の壁の一部が、袋状に突出した状態です。大腸カメラで確認すると、便が挟まっているのがわかるでしょう。大腸憩室症の原因は、便秘や加齢によるものと考えられています。
症状がない場合は経過観察となりますが、下血(憩室出血)や腹痛(憩室炎)がある場合には治療が必要です。先述の急性虫垂炎(盲腸)と症状が似ていることがあるため、的確な診察がカギになります。
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メジャーな胃腸の
病気リスト
~慢性的な病気編~ - 慢性的に調子が悪くなる病気の代表的なものには以下の5つ、
慢性胃炎・胃食道逆流症・機能性ディスペプシア・過敏性腸症候群・便秘症などが挙げられます。
慢性胃炎
ピロリ菌の感染などにより、胃粘膜に慢性的な炎症を起こした状態です。慢性胃炎があると、粘膜のびらん、また胃や十二指腸の潰瘍を繰り返すため、胃の痛みが継続的に発生します。
進行すると「萎縮性胃炎」を起こすことがありますが、これはピロリ菌との関連が証明されています。萎縮性胃炎は、「高分化型腺がん」という胃がんの発症リスクがとても高い状態です。
胃がんにかかった方のほとんどにピロリ菌が認められていますが、除菌治療を行うことによりピロリ菌を除去することが可能です。ピロリ菌を除去すれば胃粘膜の状態が改善し、炎症の再発も防ぐことができます。
ピロリ菌に感染しているかどうかの検査や除去治療には健康保険が適用できますが、これには“内視鏡検査を受けて「慢性胃炎」と診断されるなどこと”の条件が伴います。内視鏡検査を行わずにピロリ菌検査や除去治療を行うこともできますが、この場合は自費治療となるのでご注意ください。
胃がんは早期発見と治療によって完治することが可能な病気です。しかし進行すれば、その治療は負担が大きいものとなってしまいます。早い発見のためにも、内視鏡検査を受けられることをおすすめします。
胃食道逆流症
胃酸が食堂へ逆流し、胸焼けや酸っぱいものが上がってくる感じ(呑酸)といった不快感を覚えたり、食道の粘膜がただれたりする病気です。このほか、げっぷ、胸の痛み、のどの違和感や声のかすれ、せき、胃もたれやつかえ感、さらには耳のあたりの痛みといった症状がでる場合もあります。
この胃食道逆流症はタイプによって治療の方法が異なるため、正確な診断がカギです。日本人の食生活の欧米化などにより、患者様は増加傾向にあります(成人の10~20%)。まずは生活習慣を見直し、それでも改善がみられない場合にはお薬を使用する方法もあります。
放っておかず、早めに相談しましょう。
機能性ディスペプシア
胃カメラで確認しても、きれいで正常な胃に見えるにも関わらず、胃の機能性(はたらき)に異常があるために、おなかの不調(ディスペプシア)が起きる病気です。日々の身体的疲れや精神的な疲れ、睡眠や生活リズムの乱れ、食生活の乱れなどによるストレスに、胃が過剰反応してしまうことが主な原因と考えられています。
これは5人に1人の有病率ともいわれている、一般的な病気です。毎日の生活に支障をきたすようであれば、早めに受診をし、無理なくゆっくりと治していきましょう。
過敏性腸症候群
腹痛を伴う慢性的な下痢または便秘を過敏性腸症候群といいます。日本では10~15%ほどの人が罹患している、一般的なものです。
排便に時間がかかって予定に遅れたり、会議や電車内などすぐにトイレに行けない状況で腹痛が起こったり、プレゼンや試験などの緊張するシーンでおなかをくだし実力を発揮できないなど、日常生活に支障が起こります。
「体質だ」と諦めず、完治を目指してぜひ医師に相談しましょう。
便秘症
本来排便すべき量を排出できない、快適な排便が行えない状態です。理想的な排便というのは、
- 色……黄土色~茶色
- 形状……バナナ状
- におい……あまり臭くない
- 量……バナナ1~2本分程度
- 残便感がない
- 頻度……1,2日に1回
が目安となります。生活習慣の改善やお薬の適正使用、腸内環境の改善に取り組むことによって正常な排便へとつながるでしょう。
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――消化器疾患のリスクが跳ね上がるのは「40歳」から!?
大腸カメラは人間ドックのメニューに含まれておらず、胃カメラに比べても時間・労力を伴う検査であるため、自発的に「受けよう!」と思われる方は少ないかもしれません。
しかし、これまで健康診断の結果が「異常なし」だった方も、【40歳】を過ぎたらまず一度、下部内視鏡検査(大腸カメラ)を受けることをおすすすめします。
厚労省の大腸がん健診は40歳以上を対象としており、それはつまるところ、40歳から大腸がんのリスクが上がるということを指しています。また、大腸がんによる死亡率は40歳から増えはじめ、50歳から急増し、60歳台がピークです。
40歳時点で無症状だったとしても、人生の節目として、安心のためにも一度大腸カメラを受けることをおすすめします。問題なければまた5年後に、もしポリープが見つかった場合は、治療後も1年おきに検査を受けるのが良いでしょう。
ちなみに年齢と発病率に強い相関性があるのは男性の場合で、女性は年齢関係なく疾患を抱える傾向があります。ぜひ一度、診察を受けてみてください。
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